マッサージ店のBGMは、エステサロンとは少し考え方が違います。
エステでは、照明や香り、音楽まで含めて「普段とは違う特別な時間」をつくることが大きな価値になります。
一方、マッサージ店に来る人の多くは、もっと直接的です。
疲れている。身体を休めたい。横になりたい。できれば、そのまま寝たい。
そのためStore Soundでは、マッサージ店のBGMは、
「非日常を演出する音楽」より、「疲れた人が身体を休める時間を邪魔しない音楽」
として考えるのがよいと思っています。
ヒーリングピアノ、オルゴール、アンビエント、穏やかなアコースティックなどが使いやすいのも、単に「マッサージ店っぽい」からではありません。
理想は、施術が終わったあとに、
「何の曲が流れていたか、あまり覚えていない」
くらい自然に空間へ溶け込んでいることです。
マッサージ店のお客様は「音楽を聴きに来ている」のではない
マッサージ店と音楽を考えるとき、まず忘れたくないのが利用目的です。
お客様は、
- 肩や首がつらい
- 身体が疲れている
- 長時間の仕事でだるい
- 休日に身体を休めたい
- とにかく横になりたい
といった状態で来店することがあります。
もちろんスタッフとの会話を楽しみたい人もいます。
ただ、施術が始まったら静かにしてほしい人や、そのまま眠ってしまう人もいます。
だからマッサージ店では、音楽そのものを楽しませようとする必要はあまりありません。
施術を受ける時間から意識を奪わないこと。
むしろ、こちらの方が重要です。
エステとマッサージではBGMの目的が少し違う
エステとマッサージはどちらも、横になって施術を受けることが多く、静かなBGMとの相性がよい業態です。
ただ、求められる体験は少し違います。
エステ
エステでは、
- 高級感
- 非日常感
- 美容体験
- 香りや照明を含めた世界観
など、施術を受ける時間そのものを特別に感じてもらうことが大きな価値になります。
そのためBGMも、店舗ブランドや世界観を構成する一つの要素です。
マッサージ
一方、マッサージでは、
- 身体を預ける
- 疲れを意識しなくて済む
- 静かに過ごす
- 眠ってしまう
といった、休息する時間そのものが重要になります。
だからマッサージでは、
「素敵な空間だと思わせる音」より、「身体を休める時間を邪魔しない音」
という考え方がより重要になります。
音楽とマッサージを一緒に調べた研究もある
音楽とマッサージの組み合わせは、実際に研究対象にもなっています。
2017年に熱傷患者240人を対象として行われたランダム化比較試験では、
- 通常ケア
- 好みの音楽を聴く
- スウェディッシュマッサージを受ける
- 音楽とマッサージを組み合わせる
という4群が比較されました。
音楽群、マッサージ群、両方を組み合わせた群では、通常ケアと比較して、痛みや不安の低下、リラックス度の上昇が確認されています。
ただし、これは病院で治療を受けている熱傷患者を対象にした研究です。
一般的なマッサージ店で同じ効果があると、そのまま結論づけることはできません。
それでも、
身体への施術と音楽が同じ環境に存在するとき、心理的なリラックスとの関係が研究されている
という点は参考になります。
マッサージ店でも、BGMだけで何か特別な効果を起こそうと考えるより、施術と一緒に休息しやすい環境をつくる一要素として考える方が自然でしょう。
マッサージ中に寝たい人にとって、音楽は「起こさないこと」が大切
マッサージ中にそのまま眠ってしまう。
これは決して珍しい利用の仕方ではありません。
横になって身体を預け、目を閉じ、スマートフォンも見ない。
疲れている人にとっては、自然と眠気が出やすい環境です。
睡眠と音楽については複数の研究があります。
成人や高齢者を対象にしたランダム化比較試験をまとめたメタ解析では、音楽を使ったリラクゼーションが睡眠の質の改善と関連したと報告されています。
また別のメタ解析でも、複数のランダム化研究をまとめた結果、音楽が睡眠の質の改善に役立つ可能性が示されています。
もちろん、
「マッサージ中にこのBGMを流せば眠れる」
という研究ではありません。
睡眠障害に対する音楽介入と、店舗で数十分受けるマッサージは別のものです。
ただし、寝たい人がいる環境で、
- 大きな音
- 激しいテンポ
- 頻繁な曲調の変化
- 強く耳へ入ってくる歌詞
を避けるという考え方には合理性があります。
マッサージ店のBGMは、眠らせる音楽ではなく、眠りを邪魔しにくい音楽と考える方がよいでしょう。
「何が流れていたか覚えていない」くらいでもいい
店舗BGMというと、
「センスのいい曲を流した方がいい」
と思いがちです。
マッサージ店では、必ずしもそうではありません。
施術を受けながら、
「この曲なんだろう?」
「次はどんな曲かな?」
とBGMへ何度も意識が向くより、
気づいたら施術が終わっていた
という状態の方が、お客様の目的に合う場合があります。
だからマッサージ店では、
音楽が印象に残らないこと自体が、悪いことではありません。
音楽を聴かせるのではなく、休める空間に音を置く。
このくらいの距離感が使いやすいでしょう。
激しい音楽を流す店が少ないのにも理由がある
マッサージ店で激しいロックやアップテンポなクラブミュージックが流れているケースは多くありません。
これは単に「マッサージ店らしくない」というだけではありません。
マッサージを受ける人の目的と、音楽の方向性が合いにくいからです。
疲れて店に来て、
ベッドへ横になり、
目を閉じ、
身体を預けている。
その状態で強いビートや大きな音量の音楽を流す必要性はあまりありません。
もちろん、スポーツ系のボディケアなど店舗コンセプトによって例外はあります。
ただ、一般的なリラクゼーション目的のマッサージ店であれば、
お客様の覚醒を高めるより、刺激を増やさないこと
の方が重要になりやすいでしょう。
会話したくないお客様にもBGMは役立つ
マッサージ店では、スタッフとの会話を楽しみたい人もいれば、
施術中はできるだけ話しかけないでほしい
という人もいます。
このとき完全な無音だと、会話が止まった瞬間に少し気まずく感じることがあります。
BGMが静かに流れていれば、
「何か話さなければならない」という感覚を薄める背景
になります。
ネイルサロンではBGMが会話の背景になることがありますが、マッサージでは逆に、
会話しなくても成立する空間をつくる背景
として使えるわけです。
無音よりBGMがあった方がいいとは限らない
一方で、マッサージ店だから必ず音楽を流さなければならないわけでもありません。
実際、マッサージのリラクゼーション効果を調べた研究の中には、マッサージだけでなく「リラックスできる部屋で過ごすこと」でも改善が見られ、マッサージが他の条件より優れているとは確認されなかった研究もあります。
これも店舗BGMそのものを調べた研究ではありませんが、
休める環境は音楽だけでつくられるわけではない
ことを考える材料になります。
静かな個室で、
- 外の音がほとんど入らない
- 他のお客様の会話も聞こえない
- スタッフも必要以上に話さない
という環境なら、非常に小さなBGMや、場合によっては静寂そのものが合うこともあります。
大切なのは、
「マッサージ店だからヒーリングミュージック」
と決めつけないことです。
複数ベッドがある店舗ではBGMの役割が変わる
個室ではなく、カーテンや簡易的な間仕切りで複数の施術スペースを設けているマッサージ店もあります。
この場合は、
- 隣の施術者とお客様の会話
- スタッフ同士のやり取り
- 受付の声
- ドアの開閉
- 他のお客様の物音
などが聞こえることがあります。
ここではBGMに、
静かな空間を演出するだけでなく、周囲の生活音を少し目立ちにくくする
という役割も出てきます。
もちろん、BGMだけで会話を完全に隠すことはできません。
ただ、完全な無音よりも適度な背景音がある方が、周囲の音へ意識が向きにくい場合があります。
個室かオープン型かによっても、必要なBGMの音量や役割は変わります。
マッサージ店で使いやすいBGM
ヒーリングピアノ
マッサージ店では使いやすいジャンルの一つです。
歌詞がなく、音量や曲調の変化が穏やかなものなら、施術中の背景へ置きやすくなります。
アンビエント
旋律を強く意識させず、空間全体を音で包みたい店舗に向いています。
眠ってしまうお客様が多い店舗でも使いやすいでしょう。
オルゴール
柔らかな印象を出しやすい音楽です。
ただし、高音域の強いものや旋律が目立ちすぎるものは、静かな環境では逆に耳につくことがあります。
穏やかなアコースティック
ヒーリング系ほど静かにしすぎず、少し温かい雰囲気を出したい店舗で使いやすいでしょう。
自然音を取り入れたBGM
雨、水、森などの自然音を取り入れた音楽もリラクゼーション系の店舗では使われます。
ただし自然音にも好みがあるため、「自然音なら必ず落ち着く」と考えるのではなく、店舗の雰囲気に合うかで判断した方がよいでしょう。
音量は「聞かせる」より少し小さいくらいから考える
マッサージ店では、大音量のBGMは必要ありません。
目安として考えたいのは、
スタッフの声が普通に聞き取れて、音楽を意識しなくても存在している程度
です。
ただし、小さければ小さいほどよいわけでもありません。
音量が小さすぎると、
- 隣の会話
- 足音
- 空調音
- スタッフの作業音
などが逆に目立つ店舗もあります。
そのためマッサージ店では、
「音楽が聞こえるか」ではなく、「余計な音が気にならず休めるか」
を基準に調整した方がよいでしょう。
マッサージ店でもYouTubeや個人向け音楽サービスには注意
個人経営のマッサージ店では、普段利用しているYouTubeや音楽配信サービスを、そのまま店舗でも使いたくなることがあります。
ただし、個人で音楽を聴く場合と店舗BGMとして利用する場合では、サービスの利用条件が異なることがあります。
店舗で継続して音楽を流すのであれば、
- 楽曲の権利
- サービス側の利用規約
- 店舗利用できる音源か
を確認する必要があります。
最初から店舗利用を前提としたBGMサービスを選ぶ方法もあります。
Store Soundが合いやすいマッサージ店
Store Soundはインストゥルメンタル中心の店舗向けBGMサービスです。
そのため、
- 疲れたお客様に静かに過ごしてほしい
- 施術中に寝るお客様がいる
- J-POPなど有名曲を流す必要がない
- 音楽を主役にしたくない
- 店内を完全な無音にはしたくない
- ヒーリングピアノなど穏やかなBGMを使いたい
- 選曲に時間をかけたくない
- 店舗利用できる音源を簡単に流したい
といったマッサージ店では使いやすい選択肢になります。
マッサージ店は、Store Soundのようなインスト中心の店舗BGMと相性のよい業態の一つです。
一方、
スポーツ系のコンセプトなどでアップテンポな有名曲を積極的に使いたい店舗には向いていません。
その場合は、目的に合った楽曲を店舗利用できる別のサービスを選ぶ方がよいでしょう。
マッサージ店のBGMは「疲れた人を邪魔しない音」で考える
マッサージ店のBGMについて考えると、
「リラックスできる曲を流しましょう」
という結論になりがちです。
でも、もう少し利用者側から考えると違って見えます。
お客様は、音楽を楽しむために来店しているわけではありません。
疲れている。
横になりたい。
身体を預けたい。
静かにしたい。
そして、できればそのまま寝たい。
だからStore Soundでは、マッサージ店のBGMは、
「何を聴かせるか」より、「何を邪魔しないか」
から考えるのがよいと思っています。
施術を邪魔しない。
会話したくない人を邪魔しない。
眠気を邪魔しない。
店舗の静けさを邪魔しない。
そして施術が終わったあと、
「そういえば、何の曲が流れていたっけ?」
と思うくらいでいい。
マッサージ店では、そんな意識から消えていくBGMが、使いやすい音楽の一つではないでしょうか。
サロン全体における音楽の役割については、「サロンと音楽の関係」の記事でも詳しく紹介しています。
