整骨院・接骨院のBGMは何を流す?施術中の会話・痛み・複数ベッドから考える音楽の選び方

整骨院・接骨院のBGMは、待合室だけを見て考えると少し足りません。

患者さんが長く過ごすのは、むしろ施術スペースです。

ベッドに横になる。

身体を動かして状態を確認する。

施術を受ける。

先生と話す。

電気治療などを受けながら、しばらく横になっている。

その間、隣のベッドでは別の患者さんが施術を受けていることもあります。

だからStore Soundでは、整骨院・接骨院のBGMを、

「リラックスできそうな音楽を流す」ではなく、「施術を受けている時間に、会話や周囲の音だけが目立ちすぎない背景をつくる音」

として考えるのが自然だと思っています。

目次

整骨院では、患者さんがずっと会話しているとは限らない

整骨院というと、

先生と患者さんが話しながら施術している。

そんなイメージがあります。

実際、

「今日は腰どうですか?」

「昨日より楽です」

「仕事でずっと座っていて」

といった会話はあります。

ただ、施術時間のすべてを話しているわけではありません。

うつ伏せになる。

目を閉じる。

電気治療を受ける。

疲れていて、今日はあまり話したくない。

場合によっては、そのまま少し眠くなる。

そんな時間もあります。

ここで院内が完全な無音だと、

隣のベッドの会話。

施術スタッフ同士の声。

器具の音。

電話。

受付の声。

が必要以上に耳に入ることがあります。

BGMには、

会話を盛り上げるというより、会話がない時間まで自然にする

役割があります。

「今日は話したくない患者さん」もいる

毎週通っている患者さんなら、先生との会話を楽しみにしていることもあるでしょう。

一方で、

仕事帰りで疲れている。

痛みがある。

頭痛もする。

今日は静かに施術を受けたい。

という日もあります。

そんなとき、スタッフ側が無音を気まずく感じて話し続ける必要はありません。

小さくBGMが流れていれば、

患者さんが黙っていても、その時間が不自然になりにくい。

話してもいい。

黙っていてもいい。

目を閉じてもいい。

施術を受ける側が、その日の気分に合わせて過ごせる余白を残す。

これは施術型の店舗でBGMを考えるうえで大切なポイントです。

複数ベッドの整骨院では、隣の会話が気になることがある

整骨院・接骨院では、一つの施術スペースに複数のベッドが並んでいることがあります。

カーテンで仕切られていても、完全な個室ではありません。

隣では、

身体の状態。

仕事の話。

スポーツでのケガ。

家族の話。

などが聞こえてくることがあります。

BGMを流せば、こうした会話が完全に聞こえなくなるわけではありません。

大きな音量で会話を消そうとすれば、施術者と患者さん自身の会話まで聞き取りにくくなります。

そのため、BGMを防音やプライバシー対策そのものとして扱うのは適切ではありません。

ただ、

静かな空間で隣の会話だけが浮いて聞こえる状態を和らげる背景音

として使うことはできます。

整骨院のBGMでは、このくらいの役割を考えるのが現実的でしょう。

カーテン1枚の向こうに人がいる

個室型のサロンとは違い、整骨院では、

カーテンの向こう側に別の患者さんがいる。

ということがあります。

顔は見えなくても、声は聞こえる。

施術台の動く音もする。

先生が別の患者さんに説明している声も聞こえる。

この環境では、

「落ち着いた空間」と「完全な静寂」は同じではありません。

少し背景音があることで、それぞれのベッドで過ごしている時間が分かれて感じられる場合があります。

BGMで会話を隠すのではなく、

周囲の声だけが院内のすべてにならないようにする。

そのくらいの使い方が合っています。

痛みを抱えて来る人に、大きな音楽は必要ない

整骨院・接骨院には、

腰が痛い。

肩が痛い。

首がつらい。

スポーツでケガをした。

身体を動かすと痛い。

といった人が来ます。

楽しい気分で来院しているとは限りません。

そのため、

テンポが激しい。

音量が大きい。

低音が強い。

曲ごとの音量差が激しい。

といったBGMは、院によっては合わないことがあります。

整骨院では、

音楽を楽しませることより、患者さんに余計な刺激を増やさないこと

を先に考えてよいでしょう。

筋骨格系の痛みと音楽を調べた研究がある

整骨院そのものを対象にした研究ではありませんが、筋骨格系の腰痛患者と音楽について調べた研究があります。

2025年に発表された小規模なランダム化比較試験では、救急外来を受診した急性の筋骨格系腰痛患者40人を対象に、

  • 患者自身が選んだ音楽を聴く
  • ノイズキャンセリングのみで過ごす

という2つの条件が比較されました。

音楽を聴いたグループでは、介入後の不安と痛みの自己評価が、比較群より低かったと報告されています。

参考:
Randomized Trial of Self-Selected Music Intervention on Pain and Anxiety in Emergency Department Patients with Musculoskeletal Back Pain

ただし、この結果を整骨院のBGMへそのまま当てはめることはできません。

対象は救急外来を受診した急性腰痛患者であり、さらに患者自身が選んだ音楽を聴いています。

院内のスピーカーから全員に同じBGMを流す条件とは違います。

したがって、

「整骨院でBGMを流せば腰痛が軽くなる」

という意味ではありません。

この研究から言えるのは、痛みや不安を抱えた人と音楽の関係について、実際に臨床研究が行われているということです。

疼痛外来の待合室でも音楽が研究されている

慢性的な痛みを抱える患者が通う、疼痛外来の待合室で音楽を調べた研究もあります。

2022年に発表された研究では、2つの外来疼痛クリニックで計200人の成人患者を対象に、

一方では録音された音楽。

もう一方では音楽療法を学ぶ学生による生演奏。

を待合室で提供し、患者へのアンケートが行われました。

参加者からは、不安・ストレス・痛みが低く感じられたことや、待ち時間が短く感じられたことなどが報告されています。

参考:
Pilot Study on Music in the Waiting Room of Outpatient Pain Clinics

ただし、この研究には重要な限界があります。

対照群がなく、介入前後を厳密に比較した試験でもありません。

患者自身の主観的な回答を中心とした調査です。

そのため、

音楽によって痛みや不安が低下したと因果関係まで断定することはできません。

整骨院で参考にするとすれば、

痛みを治すために音楽を流すのではなく、痛みを抱えた人が過ごす環境の一要素として音楽を考える

くらいが適切でしょう。

整形外科の処置中にも音楽が調べられている

施術や処置を受けている最中の音楽についても研究があります。

2024年に掲載された研究では、整形外科のギプス室で処置を受ける患者を、

  • 音楽
  • アロマ
  • どちらもなし

の条件に分けて比較しています。

音楽を聞いた患者では、処置後に報告された平均疼痛スコアが、何も行わなかった患者より低い結果でした。

一方、不安に関する評価では明確な差は確認されませんでした。

参考:
Improving the Patient Experience During Care in the Orthopedic Cast Room

これも整骨院の施術とは異なります。

ギプスや創傷処置を行う整形外科の環境を対象にした研究であり、

日常的な手技や電気治療にBGMを加えれば同じ結果になる

という意味ではありません。

ただ、患者が身体への処置を受けている時間と音楽の関係を考える材料にはなります。

マッサージと音楽を組み合わせた研究もあるが、整骨院とは別物

音楽と身体への施術という点では、マッサージと音楽を組み合わせた研究もあります。

2017年に発表されたランダム化比較試験では、入院中の熱傷患者240人を、

  • 通常ケア
  • 好きな音楽
  • スウェーデン式マッサージ
  • 音楽+マッサージ

の4群に分けて比較しました。

音楽、マッサージ、両方を組み合わせたグループでは、対照群と比べて痛みや不安の自己評価が低下し、リラックスの評価が上昇したと報告されています。

参考:
The effects of massage and music on pain, anxiety and relaxation in burn patients: Randomized controlled clinical trial

ただし、対象は熱傷で入院している患者です。

使われた音楽も患者自身の好みの曲であり、整骨院で流す店舗BGMとは条件が大きく違います。

したがって、

「マッサージに音楽を加えれば施術効果が上がる」

と一般化することはできません。

研究はあくまで、

身体へのケアと音楽の関係が医療分野で研究されている

ことを知るための参考資料として見るのがよいでしょう。

電気治療中には「何もしない時間」がある

整骨院・接骨院ならではの時間として、

電気治療。

温熱。

牽引。

などがあります。

器具をセットしてもらったあと、患者さんは数分間そのまま過ごします。

先生とずっと会話するわけではない。

スマートフォンを触りにくい姿勢になることもある。

目を閉じている人もいる。

仕事帰りなら、そのまま少し眠くなることもあるでしょう。

この時間は、

何かを楽しませる必要はないけれど、完全な無音である必要もない時間

です。

小さくBGMが流れているだけで、その数分を自然につなげることができます。

これは待合室とは違う、整骨院・接骨院ならではのBGMの使い方です。

スタッフは、患者さんよりずっと長くBGMを聞いている

施術型の店舗では、お客様よりスタッフの方が長時間BGMを聞きます。

患者さんの滞在は30分程度でも、

スタッフは朝から夕方まで院内にいます。

そのため、

患者さんにとって心地よいかだけではなく、

スタッフが一日聞いていても疲れにくいか

も考えた方がよいでしょう。

短いプレイリストが何度も繰り返される。

極端に印象の強い曲ばかり流れる。

スタッフによって毎回ジャンルが変わる。

こうした状態は、患者さんよりもむしろ働く側が先に気になるかもしれません。

BGMは来院者向けの設備であると同時に、スタッフが毎日聞く院内環境の一部でもあります。

テレビを流している整骨院なら、BGMは必須ではない

整骨院によってはテレビがあります。

スポーツ中継。

ニュース。

情報番組。

患者さんとの会話のきっかけとしてテレビを使っている院もあるでしょう。

その場合、

テレビ音声。

BGM。

患者さんの会話。

スタッフの声。

施術機器の音。

まで全部重ねる必要はありません。

テレビが院の雰囲気に合っていて、自然な背景音として機能しているなら、それだけで成立する場合もあります。

整骨院でも、

BGMを必ず流す必要はありません。

大切なのは、

今の院内にどんな音があり、そこへさらに音楽を足す必要があるのか

を考えることです。

整骨院・接骨院では何を流す?

整骨院・接骨院に絶対的な正解ジャンルはありません。

ただ、施術中の背景として使うのであれば、主張の強すぎないインストゥルメンタルは扱いやすいでしょう。

ヒーリングピアノ

目を閉じて施術を受ける時間にも合わせやすく、音楽を前に出しにくいBGMです。

ピアノ

患者層を限定しにくく、静かな背景をつくりやすい音です。

アコースティック

地域密着型の明るい整骨院などで、少し親しみやすい空気をつくりたい場合に使いやすいでしょう。

ローファイ

若い患者さんが多い院や、モダンな内装の整骨院にも合わせやすいジャンルです。

ただし重要なのは、

「整骨院だからヒーリング」

と決めることではありません。

施術中の会話を邪魔していないか。

患者さんが黙ったときに音楽だけが目立っていないか。

スタッフが一日聞いていて疲れないか。

その方が重要です。

BGMにこだわらないならYouTubeでいい?

整骨院でも、

「何か静かな音が流れていれば十分」

という院はあるでしょう。

ただ、

BGMに細かくこだわらないことと、店舗で流す音が何でもいいことは別です。

YouTubeなど個人向けサービスを店舗BGMとして使う場合には、利用条件を確認する必要があります。

また実際の運用でも、

広告。

動画停止。

意図しない動画への切り替え。

曲ごとの音量差。

再生操作。

などがあります。

患者さんが施術台で目を閉じているときに、突然大きな広告音声が流れる。

それは整骨院がつくりたい環境とは違うはずです。

「静かなインストが自然に流れていれば十分」なのであれば、その“十分”な状態を安定して維持できること

の方が重要です。

Store Soundが合いやすい整骨院・接骨院

Store Soundは、インストゥルメンタル中心の店舗向けBGMサービスです。

そのため、

  • 施術中に穏やかな背景音があれば十分
  • 患者さんが話しても黙っていても自然な空間にしたい
  • 複数ベッドで周囲の会話だけが目立つ状態を避けたい
  • 電気治療などの時間にも自然な音がほしい
  • 音楽を施術より前に出したくない
  • 広告音声を施術中に流したくない
  • 毎日プレイリストを考えたくない
  • スタッフによって選曲を大きく変えたくない
  • YouTubeなど個人向けサービスで済ませたくない
  • BGMに多くの機能を求めていない

といった整骨院・接骨院では使いやすい選択肢になります。

Store Soundは、

施術効果を高めるための音楽療法サービスではありません。

また、BGMによって痛みを改善することを目的としたサービスでもありません。

できるのは、

施術を受けている時間の後ろに、邪魔になりにくいインストBGMを自然に流すこと。

「それで十分」という院のための選択肢です。

整骨院のBGMは「話しても、黙っていてもいい時間」をつくる

施術台にうつ伏せになる。

先生と少し話す。

しばらく黙る。

隣から別の患者さんの声が聞こえる。

電気治療に切り替わる。

目を閉じる。

仕事帰りなら、そのまま少し眠くなる。

整骨院では、

会話している時間と、何も話していない時間が交互にあります。

だからBGMは、

患者さんを楽しませる必要も、

施術を派手に演出する必要もありません。

話しているときは邪魔をしない。

黙ったときも静かすぎない。

隣の声だけが必要以上に目立たない。

目を閉じても、何かしなければならない感じがない。

そのくらいでいい。

Store Soundでは、整骨院・接骨院のBGMを、

「患者さんを音楽でリラックスさせるためのもの」ではなく、「話しても、黙っていても、目を閉じても自然に施術を受けられる背景音」

として考えています。

施術が主役です。

BGMは、その施術時間の後ろに自然に存在していれば十分なのではないでしょうか。

クリニックや医療施設全体におけるBGMの役割、待合室の音楽と不安・ストレスに関する研究については、「クリニックと音楽の関係」でも詳しく紹介しています。

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