バーのBGMは何を流す?会話・一人客・静けさから考える音楽の選び方

バーのBGMは、単に「おしゃれな曲を流すため」のものではありません。

むしろバーでは、

黙っていても居づらくない。
会話しても邪魔されない。
酒を飲む時間が間延びしない。

そんな空気をつくるために、BGMが使われます。

バーで完全な無音を想像してみると分かりやすいかもしれません。

カウンターに一人で座る。

バーテンダーも別のお客様と話している。

聞こえるのは、氷の音、グラスを置く音、隣のお客様の会話。

それが心地よい店もあります。

でも店によっては、

静かというより、少し緊張する。

そんな空間にもなります。

そこで小さくジャズやピアノが流れていると、

「別に誰かと話さなくてもいい」

「ただ酒を飲んでいていい」

という空気が生まれます。

Store Soundでは、バーのBGMは、

「バーには何のジャンルが合うか」より、「お客様が黙った瞬間に、何が聞こえていてほしいか」

から考えるのがよいと思っています。

目次

バーでは「無音にしないこと」そのものに意味がある

飲食店では、BGMがなくても成立する業態があります。

ラーメン店なら厨房の音。

大衆居酒屋ならお客様の会話やテレビ。

寿司店なら職人の仕事の音。

それだけで店の空気ができることがあります。

しかしバーは少し違います。

特に客数が少ない時間帯や、一人客が多い店では、完全な無音になると店内の細かな音が急に目立ちます。

  • 隣のお客様の会話
  • 氷を扱う音
  • グラスを磨く音
  • スタッフの足音
  • ドアが開く音

こうした音しかないと、初めて来たお客様は少し落ち着かないこともあります。

BGMが小さく流れていることで、

店内に「音の背景」ができます。

バーでは、この背景があること自体が居心地につながります。

バーのBGMは「沈黙を埋める」のではなく「沈黙を自然にする」

一人でバーへ行ったからといって、ずっとバーテンダーと話したいわけではありません。

最初に注文する。

少し酒について聞く。

その後は静かに飲む。

そんな時間もあります。

このとき、店内に適度なBGMがあると、

黙っていることが不自然ではなくなります。

会話が止まったからといって、何か話さなければならない感じがしない。

一人でグラスを眺めていても成立する。

これはバーにおけるBGMの大きな役割です。

音楽で沈黙を消してしまうのではなく、

沈黙が気まずくならない程度の音を置いておく。

それくらいがちょうどいいバーも多いでしょう。

オーセンティックバーでは、BGMより人の声が前にある

落ち着いたバーでは、バーテンダーとの会話も体験の一部です。

ウイスキーについて聞く。

おすすめのカクテルを相談する。

酒の産地やつくり方について説明を受ける。

少し雑談する。

こうした店でBGMが大きすぎると、

その店で一番大切な「人との距離」を壊してしまいます。

そのためオーセンティックバーでは、

「何を流すか」以上に、

どのくらいの音量で流すか

が重要です。

ジャズだから正解。

ピアノだから正解。

というわけではありません。

静かなジャズでも、大きければ会話を邪魔します。

逆に、少し軽い音楽でも、小さく背景に置けば成立する場合があります。

バーでは、

BGMよりバーテンダーの声が一段前にある

くらいが自然です。

「バー=ジャズ」で決めると少し雑

バーといえばジャズ。

もちろん相性はよいです。

ただし、

ジャズを流せばバーらしくなる

と考えるのは少し単純です。

重要なのは、そのジャズが何のために流れているのかです。

酒と会話を主役にするための背景なのか。

店主自身がジャズ好きで、その趣味を見せたいのか。

それとも、そもそもジャズそのものを聞きに来てもらう店なのか。

同じジャズでも、役割は違います。

特にジャズバーやレコードバーでは、

「BGMは何がいいですか?」という質問そのものが少しズレています。

音楽を聞くこと自体が来店目的だからです。

その場合は、

  • どのアーティストを流すか
  • どのレコードをかけるか
  • どんなスピーカーを使うか
  • 店主がどう選曲するか

まで含めて商品です。

Store Soundのような背景音として使うBGMサービスとは、目的が違います。

店主の好きな音楽が、会話のきっかけになるバーもある

個人経営のバーでは、店主自身の趣味がそのまま店の魅力になっていることがあります。

ロックが好き。

ジャズが好き。

映画音楽が好き。

80年代の洋楽が好き。

レコードを集めている。

そうした音楽を流していると、お客様から、

「この曲好きなんですか?」

「このバンド、昔聴いてました」

と会話が始まることがあります。

この場合、音楽はただのBGMではありません。

接客のきっかけです。

バーでは店主との距離が近いからこそ、こうした使い方も成立します。

だから、店主の音楽趣味まで含めて店をつくっているなら、そのこだわりを消す必要はありません。

Store Soundがすべてのバーに向いているわけではないのは、このためです。

逆に「バーらしい音が流れていれば十分」という店もある

一方で、

酒には詳しい。

接客にもこだわる。

店内の照明にもこだわる。

でも音楽そのものには、そこまで強いこだわりはない。

というバーもあります。

そうした店では、

何万曲から選べることが必ずしも価値ではありません。

今日は何を流そう。

このプレイリストは店に合うか。

曲が終わったから次を探そう。

こうしたことを営業中に考えるより、

店の雰囲気に合う音楽が自然に流れ続けること

の方が便利です。

特に一人で営業するバーや少人数の店舗では、BGMまで毎日細かく管理したくないというケースもあるでしょう。

店に必要なのは、

音楽の選択肢を増やすことではなく、音楽を考える仕事を減らすこと

かもしれません。

バーでは広告音声がかなり目立つ

バーは、空間を細かくつくり込む店が多い業態です。

照明を落とす。

ボトルを美しく見せる。

グラスを選ぶ。

カウンターを整える。

静かなBGMを流す。

そこまでつくった空間で、突然サービスの広告や大きなナレーションが流れれば、空気は一気に変わります。

特に静かなバーでは、

数秒の広告音声でもかなり目立ちます。

BGM選びでは、

「どんな音楽を流すか」

だけではなく、

「営業中に何を流さないか」

も大切です。

通知音、広告、突然の音量差。

こうした店側が意図していない音は、できるだけ避けた方がよいでしょう。

バーでは酒と音楽のテンポを合わせる

バーでは、滞在時間そのものが価値になることがあります。

一杯飲む。

二杯目を頼む。

少し話す。

また黙る。

酒について聞く。

ゆっくり時間が流れる。

その店がこうした過ごし方を大切にしているなら、BGMも極端に慌ただしくする必要はありません。

飲食店を対象にした研究では、BGMのテンポと滞在時間の関係が検討されています。

参考:
How Does Background Music Affect Dining Duration, Tips and Bill Amounts in Restaurants? A Field Experiment

ただし、これはバーを対象にした研究ではありません。

そのため、

「バーでゆっくりしてもらうなら遅い曲」

と単純には言えません。

むしろ実際のバーでは、

店が提供したい時間の速さと、音楽のテンポが大きくズレていないこと

の方が重要でしょう。

静かにウイスキーを飲む店で、常に激しい曲が流れている。

逆に、にぎやかなカジュアルバーで極端に静かなピアノだけが流れている。

どちらも、店の狙いとズレる可能性があります。

バーで使いやすいBGMは?

ジャズ

酒や会話を主役にするバーでは、インストジャズを背景に使いやすいでしょう。

ただし「バーだからジャズ」ではなく、音量と曲調まで含めて考える必要があります。

ピアノ

静かに一人で飲むお客様や、会話を邪魔したくない店舗に合わせやすい音楽です。

アンビエント

モダンな内装のバーや、ジャンルそのものを強く意識させたくない店で使いやすいでしょう。

ローファイ

少し若い客層や、現代的なカジュアルバーに合わせやすいジャンルです。

アコースティック

木を使った内装や、温かく入りやすい雰囲気のバーに向いています。

店主が好きな音楽

店主の趣味や音楽そのものが店の個性になっているなら、それも重要な選択肢です。

閉店時も「バーらしさ」を壊さない方がいい

居酒屋では、「蛍の光」のような閉店BGMで、

「あ、もう終わりか」

と気づいてもらう方法があります。

バーでも閉店を知らせる必要はあります。

ただし、静かなオーセンティックバーで突然「蛍の光」が大きく流れると、それまでつくってきた空気と合わない場合もあります。

そのためバーでは、

  • 少し静かな曲へ切り替える
  • 音量を下げる
  • 照明を少し変える
  • 片付けを始める
  • 必要なら閉店BGMを使う

など、店の雰囲気に合わせて営業終了を伝える方が自然です。

最後まで、

その店らしい時間の終わり方

を考えてもよいでしょう。

Store Soundが合いやすいバー

Store Soundは、インストゥルメンタル中心の店舗向けBGMサービスです。

そのため、

  • 酒と会話を主役にしたい
  • バーらしいBGMはほしい
  • 有名曲には特にこだわらない
  • 一人客が静かに過ごせる空間をつくりたい
  • バーテンダーとの会話を邪魔したくない
  • ジャズやピアノを背景に流したい
  • 営業中に広告音声を入れたくない
  • 毎日選曲する手間を減らしたい
  • USENほど多くの機能は必要ない

といったバーでは使いやすい選択肢になります。

特に、

「音楽そのものを売りたいわけではない。でも無音では店が成立しにくい」

というバーとの相性があります。

逆に、

ジャズバー。

レコードバー。

店主の好きな特定アーティストを流すこと自体が店舗の魅力になっているバー。

こうした店にはStore Soundは向いていません。

音楽そのものが商品なら、その音楽にこだわる方がよいからです。

バーのBGMは「客が黙ったとき」を想像すると選びやすい

バーのBGMを考えるとき、

「バーらしい曲は何だろう?」

と考えなくてもいいかもしれません。

それより、

カウンターに一人のお客様がいる。

バーテンダーも話していない。

そのとき店内に何が聞こえていてほしいか。

を想像してみる。

完全な静寂がその店らしいなら、それでもいい。

店主の好きなレコードが流れていてほしいなら、それもいい。

小さなジャズがあって、何も話さなくても居づらくない空間にしたいなら、それも一つの答えです。

バーでは、

音楽が主役になる店もあれば、沈黙を自然にするためだけに音楽がある店もあります。

だから大切なのは、

「何を流すか」ではなく、「その店でどんな時間を過ごしてほしいのか」。

酒。

会話。

一人で過ごす時間。

店主との距離。

そのすべてを邪魔せず、店にちょうどいい静けさをつくる。

それが、バーのBGMを選ぶうえで大切ではないでしょうか。

飲食店全体におけるBGMの考え方や、音楽と店舗体験の関係については、「飲食店と音楽の関係」でも詳しく紹介しています。

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