ラーメン店のBGMは、必ずしも必要ではありません。
昔ながらのラーメン店なら、
テレビがついている。
ラジオが流れている。
厨房から湯切りや食器の音が聞こえる。
店主と常連客が話している。
それだけで店内の雰囲気が成立していることがあります。
むしろ、そうした店に無理におしゃれなBGMを入れると、その店らしさが薄くなることすらあります。
一方で、
- 内装までこだわったラーメン店
- 女性客や若い客層を意識した店舗
- デートでも入りやすい店
- 高単価のラーメンやコースを提供する店
- ラーメン以外に酒や一品料理も楽しませる店
では、BGMも店舗体験の一部になります。
Store Soundでは、ラーメン店のBGMを、
「ラーメンに合う音楽は何か」ではなく、「そもそもこの店にBGMが必要なのか」
から考えるのがよいと思っています。
昔ながらのラーメン店なら、テレビで十分なこともある
ラーメン店は、他の飲食業態と比べても「音楽がなくても成立しやすい」店舗があります。
店に入る。
食券を買う。
カウンターに座る。
ラーメンが出てくる。
食べる。
店を出る。
こうしたシンプルな利用が中心なら、BGMが店選びの大きな理由になることはあまりありません。
テレビからニュースや野球中継が流れていても、それが店の日常として成立しているなら問題ありません。
特に昔ながらの店舗では、
「何か音があればテレビで十分」
という考え方も自然です。
Store Soundでも、こうした店舗に無理にBGMサービスを勧める必要はないと考えています。
ラーメン店は、そもそも店内に音が多い
ラーメン店では、
- 麺を茹でる音
- 湯切りの音
- 食器を置く音
- 厨房スタッフの声
- 注文を確認する声
- お客様が麺をすする音
など、営業しているだけで多くの音が発生します。
オープンキッチンやカウンター中心なら、こうした音も店の活気の一部です。
そのため、
無音だから寂しいのでBGMを大きく流す
という考え方が必ずしも必要ではありません。
すでに十分な音がある店では、音楽まで強く足すと、かえって騒がしく感じることがあります。
ラーメン店では「静かに食べる客」も多い
ラーメン店では、一人客も少なくありません。
一人で入店して、ラーメンを食べて、そのまま店を出る。
グループで長時間会話を楽しむことが中心のレストランとは、利用のされ方が違います。
そのため、BGMにも、
長時間滞在を快適にするための音楽
という役割は、他の飲食店ほど強くない場合があります。
むしろ、
食事の邪魔にならない程度に何か流れている
くらいでも十分です。
回転率のためにテンポの速いBGMを流すべき?
ラーメン店は回転率を意識する業態でもあるため、
「テンポの速い曲を流した方が、お客様も早く食べて帰るのでは?」
と考えることもできます。
実際、レストランを対象にしたフィールド実験では、速いテンポのBGM条件で、遅いテンポの条件より滞在時間が短かったという結果が報告されています。
ただし、この研究はテルアビブのイタリア料理店で行われたものであり、ラーメン店を対象にした研究ではありません。
また、BGMと食事時間に関する研究全体では結果が一貫しているわけではなく、研究条件によって違いがあります。
そのため、
「回転率を上げたいなら速い曲を流せばいい」
と単純に考えるのは避けた方がよいでしょう。
ラーメン店なら、BGM以前に、
- 提供スピード
- 席数
- 食券方式
- オペレーション
- メニュー構成
などの方が回転率への影響は大きいはずです。
食べる速さとBGMのテンポを調べた研究もある
BGMのテンポと食事行動については、日本の研究者による実験もあります。
26人の若年女性を対象に、同じ音楽を速い・通常・遅いテンポで流しながら食事をしてもらった研究では、食事量や食べる速度に条件間の違いが見られました。
参考:
The effect of background music tempo on eating speed and food intake volume within in healthy women
ただし、この研究もラーメン店で行われたものではありません。
さらに、速いテンポほど単純に食事速度が上がったわけでもありません。
ここからも、
「速い音楽=回転率アップ」
と簡単に決めることはできないと分かります。
ラーメン店では、音楽を経営テクニックとして過剰に利用するより、
店の雰囲気を邪魔しないこと
を優先する方が現実的でしょう。
町のラーメン店では、テレビやラジオも店舗体験の一部
テレビが流れていることを、
「古い店舗運営」
と考える必要もありません。
昔ながらのラーメン店では、
テレビ。
ラジオ。
新聞。
壁に貼られたメニュー。
店主との会話。
厨房の音。
そうしたもの全部が合わさって店の空気をつくっています。
ラーメン店の場合、
洗練されていないこと自体が、必ずしもマイナスではありません。
地域で長く営業している店なら、その日常感そのものが魅力になっていることもあります。
そこへ無理にローファイやジャズを流しても、店が良くなるとは限りません。
音楽そのものが店の個性になっているラーメン店もある
一方で、ラーメン店では、店主の音楽の好みそのものが店舗ブランドになっているケースもあります。
大阪の人気ラーメン店「人類みな麺類」は、その代表例です。
店内ではMr.Childrenの楽曲が流れていることで知られ、メニュー名の「micro」「macro」もMr.Childrenのベストアルバム名に由来すると紹介されています。
ここまで一貫していれば、BGMは単なる背景音ではありません。
「この店らしさ」をつくるコンテンツの一部です。
つまりラーメン店では、
音楽にはこだわらずテレビで十分な店
もあれば、
好きなアーティストを徹底して流し、それ自体を店の個性にする店
もあります。
大切なのは、
「ラーメン店には何を流すべきか」ではなく、その店にとって音楽をどこまでブランドの一部にするのか
を決めることです。
では、どんなラーメン店ならBGMが必要になる?
一方で、近年のラーメン店にはさまざまなタイプがあります。
たとえば、
- 内装をデザインした店舗
- 木やモルタルを使ったモダンな店舗
- カフェのように入りやすい店舗
- 女性一人でも入りやすい店舗
- クラフトビールや日本酒も提供する店舗
- 夜は一品料理も楽しめる店舗
- 高級食材を使った高単価店
こうした店舗では、テレビからニュースやCMが流れていると、つくり込んだ世界観と合わないことがあります。
その場合には、
「テレビではない何かを自然に流しておきたい」
というニーズが生まれます。
ここで初めて店舗BGMサービスの意味が出てきます。
高価格帯のラーメン店では「何でもいい」とはなりにくい
ラーメンは大衆料理というイメージが強い一方で、価格帯の高い店舗もあります。
素材。
器。
店内。
サービス。
一杯の見せ方。
そこまで含めて体験を設計している店なら、
テレビでニュースが流れていれば十分
とはなりにくくなります。
これは、寿司や高価格帯の中国料理と同じ考え方です。
お客様が料理だけでなく、その店で過ごす時間にも価値を感じるようになるほど、
店内にどんな音があるか
も店舗体験の一部になります。
ただし、高価格帯だから高価なBGMサービスを導入すべきという意味ではありません。
有名曲も大量のチャンネルも必要ないなら、
店の雰囲気を壊さないインストが流れれば十分
という店舗もあります。
ラーメン店では流行曲を流してもいい?
ラーメン店は、寿司や料亭ほど流行曲との相性が悪い業態ではありません。
若い客層が中心。
学生が多い。
元気な店。
スタッフ自身のキャラクターを前面に出している。
こうした店舗なら、J-POPやロックが合うこともあります。
むしろ、人類みな麺類のように、特定アーティストへの強い愛着を店の個性として見せる店舗もあります。
その場合、無理にインストへ変える必要はありません。
一方、
特定の音楽を店の個性にするつもりはない
のであれば、有名曲を使う必要もありません。
ラーメンを食べることが目的なら、
音楽は背景に徹していても十分
です。
店主の好きな音楽を流す店も成立する
ラーメン店は、個人店の色が強く出やすい業態でもあります。
店主がロック好き。
ヒップホップ好き。
ジャズ好き。
昔の歌謡曲好き。
そうした趣味をそのまま店内に出すことで、店のキャラクターになっている場合があります。
これはStore Soundとは違う考え方ですが、十分成立します。
大切なのは、
「ラーメン屋ならこの音楽」ではなく、その店が何を見せたいのか
です。
音楽そのものを店の個性にしたいなら、好きな曲を店舗利用できる方法を選ぶ。
逆に音楽にはそこまでこだわらないなら、背景として使いやすいBGMを選ぶ。
それでよいと思います。
ラーメン店で使いやすいBGM
ローファイ
モダンなラーメン店や、若い客層を意識した店舗に合わせやすいジャンルです。
音楽の主張が比較的小さく、現代的な雰囲気をつくりやすいでしょう。
ジャズ
少し大人っぽいラーメン店や、酒と一緒に食事を楽しませる店舗で使いやすいジャンルです。
アコースティック
木を使った内装や、親しみやすく落ち着いた店舗に合わせやすい音楽です。
和ジャズ
和の素材や器、日本酒などを強く打ち出す店舗では選択肢になります。
テレビ・ラジオ
昔ながらのラーメン店なら、これも十分に成立します。
すでにその店の日常として定着しているなら、無理にBGMへ変更する必要はありません。
「USENしか知らない」なら、もっとシンプルな選択肢もある
店舗で音楽を流そうと思ったとき、
「店舗BGMならUSEN」
しか思い浮かばない人もいます。
しかし、ラーメン店で必要なのが、
- 有名アーティスト
- 最新J-POP
- 多数のチャンネル
- 番組コンテンツ
とは限りません。
特に、
テレビはやめたい。
でも音楽にはそこまでこだわらない。
無音は少し寂しい。
という店舗なら、多機能なサービスがオーバースペックになることがあります。
必要なのが、
営業中に自然なインストが流れていること
だけなら、よりシンプルな店舗BGMサービスでも十分です。
Store Soundが合いやすいラーメン店
Store Soundは、インストゥルメンタル中心の店舗向けBGMサービスです。
そのため、
- テレビでは店の雰囲気に合わなくなってきた
- 無音にはしたくない
- 有名曲は必要ない
- 内装や店舗デザインにこだわっている
- ローファイやジャズを自然に流したい
- 店主自身が毎日選曲したくない
- USENほど多くの機能はいらない
- 店舗で利用できるBGMをシンプルに使いたい
といったラーメン店では使いやすい選択肢になります。
逆に、
昔ながらのラーメン店でテレビが店の雰囲気として成立している
なら、無理にStore Soundを導入する必要はありません。
また、人類みな麺類のように、
特定の有名アーティストを流すこと自体が店舗ブランドになっている店
もStore Soundの対象とは少し違います。
その場合は、その楽曲を店舗で利用できる方法を選ぶ方が目的に合っています。
ラーメン店のBGMは「本当に必要か」から考えていい
ラーメン店では、
BGMを導入すること自体が正解ではありません。
テレビが似合う店もある。
ラジオが似合う店もある。
厨房の音だけで十分な店もある。
人類みな麺類のように、好きなアーティストそのものをブランドにする店もある。
そして、店舗デザインを大切にする店なら、静かなインストが合うこともある。
つまり、
「ラーメンには何の音楽が合う?」
より先に、
「この店に音楽は何のために必要なのか?」
を考えることが大切です。
昔ながらの日常感を残すならテレビでもいい。
音楽自体を個性にするなら好きな曲でもいい。
テレビは合わないけれど、無音にもしたくないなら店舗BGMを使う。
ラーメン店では、
BGMを入れることより、その店らしい音環境を残すこと。
それが、一番自然な考え方ではないでしょうか。
飲食店全体におけるBGMの考え方や、音楽と店舗体験の関係については、「飲食店と音楽の関係」でも詳しく紹介しています。
